本来であればこんな試合は行われるべきではない。
ネリはきちんと制裁を受けたようには思えないし、なぜ普通に試合をしているのか、はなはだ理解に苦しむところである。
マスコミも、こんな話題を大きく取り上げるべきではない。
山中や日本のボクシングファンは、いまだにあの出来事を忘れていないし、こんなことが許されていいはずがない。
ネリは山中との2試合によって、すっかり悪役のイメージがつくようになった。
山中はあの試合で、具志堅用高に並ぶ13度目の防衛記録がかかっていた。
山中の試合は毎度見ていたけれど、これまでの防衛とは違って、注目度は段違いに大きかった。
日本中の誰もが13度目の防衛を果たすことを強く願っていた。
山中は日本ボクシング界のスーパースターであり、その実績はもはや誰も並ぶことのできないほど大変素晴らしいものである。
だが山中は運が悪かった。
どんな手を使ってでも勝つ、ネリという汚い輩に出会ってしまった。
ネリとの対戦は2度行われたが、1度目はドーピング、2度目は体重超過というあり得ない反則を犯して試合に臨み、日本のボクシングファンや山中の夢を、完全に打ち砕いてしまった。
ドーピングや体重超過が、どれくらいのアドバンテージになるか、実際のところは分からない。
ただ、体重別で行われる厳格なルールがある以上、それを破っていいはずがない。
ネリの行いに対して、さまざまな意見が出された。
WBCからきつい制裁があるのかと思いきや、ほんのわずかな謹慎があったのみで、いまは普通に試合をしている。
日本人の感覚からすれば到底考えられないことである。
ルールを忠実に守る日本人に対し、世界では体重超過などが頻繁に横行している。
同じ体重超過で、失格となってしまった比嘉大吾がいまだに復帰を果たせていない中で、ネリは井上と戦いたいとか、好き勝手なことを言っている。
同じボクシングなのに、国が違うとこんなにも対応が違ってくる。
こんなことが続いていたら、ルールを守るほうがバカらしく思えてくる。
ドーピングと言えば、アルバレスもずっと取り沙汰されていた。
ゴロフキンとの頂上決戦は随分と話題に上がったけれど、1戦目では明らかにアルバレスに有利な判定があったし、ドーピングも甘い制裁で済ませていたら、ボクシングのイメージはさらに悪いものになる。
お国柄が違うと言えばそれまでかもしれない。
ただ、それで許されていいものではないように思う。
オリンピックでは、ドーピングの取り締まりがものすごく厳しくなっているのに、なぜボクシングは甘い対応で終わっているのか?
本部がメキシコだからなのか?ハッキリ言って理解に苦しむことが多い。
外国人同士のボクシングのノンタイトル戦なんて、普通であれば見向きもしないけれど、今回のネリvsパヤノは、ヤフーニュースに取り上げられるなど、異例の注目度を集めている。
ボクシングファンとしては、とても複雑な胸中である。
ただ、結果を知りたいという気持ちがあるのもまた事実なのだ。
ファンとしては、薬物などの悪評が、井上尚弥の名声に及ばないことだけを切に願っている。