音楽を聴く手段としてのCDの役割は、もはや完全に終わったように思います。
今後、衰退の一途をたどっていくというのは、おそらく避けられそうにありません。
ただし、CDというフォーマットが完全に消滅するかと言うと…、それはNoです。
CDはこれからも細く長く続いていく…、そんな未来が待っているように思います。
テレビが隆盛を極めていたとき、ラジオは無くなるという風に言われていました。
ネットが台頭してきたときに、テレビは完全に時代遅れだと言われたりしています。
でも実際には、ラジオは無くなっていないし、テレビも相変わらず続いています。
それぞれの役割をきちんと担いながら、存続し続けているという現実があるのです。
CDの未来やあり方などについて、考察してみたいと思います。
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CDはファンビジネスの一貫である
流行に敏感な人や皮肉なことを言いたがる人は、CDについてこんな風に言ったりします。
マスに訴えかけるソフトとしてのCDの役割は、もはや完全に終わったように思います。
90年代にメガヒットがたくさん生まれた時代は、おそらく戻ってくることはありません。
そういった観点からすれば、この発言が意図することは、ものすごく正しいと思います。
でもこの発言は、ファン心理というものを、全然分かっていないように思うのです。
ファンからすればCDを購入するというのは、いまだに濃い体験の1つだと思います。
ライト層がCDを買わなくなって、本当のファンだけが熱心にCDを購入していく…。
CDを買う人が少数派になったからこそ、その行為がより濃いものになっている…。
そして、こうした状況こそが、ファンビジネスの正しいあり方、なのではないでしょうか?
これは、アイドルの写真集とか、芸能人のエッセイ本、などにも通じると思います。
アーティストのライブDVDや、お笑いライブ映像といったものも、すべて同じです。
熱心なファンであればお金を使うことを厭わないし、むしろ進んで購入したくなります。
音楽が聴けるかどうかではなく、もっと情緒的なものが深く関係していると思うのです。
CDが果たす役割について
音楽を聴く手段について現在の主役は、完全に音楽ストリーミングやYouTubeです。
CDが果たす役割というのは、以下のような要素へと完全に移行しているのです。
・コレクターズアイテム
・ファングッズ
・作品としての所有欲
特典で限定の映像作品が付いていたり、さまざまなバージョンのものがあったり…。
CDでしか味わえないという要素も、かなり盛り込まれていたりもするのですが…。
これらを求めている層というのは、一部のコアなファンだけなのではないでしょうか?
でもこういった人たちが購入する限りは、CDは絶対に無くならないと思うのです。
CDが持っているもっとも大きな強みは、保管機能にあるのではないでしょうか?
所有することの喜びというのは、人間の本能に近いものがあるように思います。
ひと昔前に発売された稀少なCDは中古市場で、高値で取引されていたりするのです。
さまざまなコレクターがいる以上、CDもまた十分に、その対象となり得るのです。
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CDはグッズの1つである
ライブ会場に行けば、Tシャツとかタオルとか、さまざまなグッズが売られています。
CDは、こういったものと並列に語られる存在へ、変わっていくのかもしれません。
世界と比べてみても日本は、CD等のフォーマットが非常に強いと言われています。
アーティストとファンを結びつける、その役割を担っているのではないでしょうか?
タワーレコードやHMVといったCDショップは、もはやCDメインの売場では無くなりつつあるように思います。
より幅広くグッズを取り扱う店へを変わっていく…、いや、すでにそうなっているように思います。
いつまでもCDだけに執着していたら、今後、存続することはできないのではないでしょうか?
ミュージシャンとファンが交流の接点となる場所…、こうした流れがますます進んでいくように思います。
ストリーミングだけだと何となく味気ない、自分の手元に音楽を残しておきたい…。
音楽を手軽に聴くだけではなく、もっと形に残るものとして留めておきたい…。
LPの人気が復活していることからも、そういったニーズは着実に存在するのです。
これからもCDは、細く長く延々と、続いていくのではないでしょうか?
いまはCDの売上枚数ではなく動画の視聴回数
CDの売上枚数というのは、いまや指標として使っている人はほとんどいません。
オリコンチャートよりもYouTubeの再生回数の方が、多くの人にとって身近な存在なのです。
そもそもCDの売上を見てみると、ほとんどがジャニーズかアイドルばかりとなります。
抱き合わせ販売のようなものが、大半を占めているというのが実態なのです。
CDはかつてのような絶対的な地位、指標として使われるものでは無くなりました。
ただし、これはCDがもはや時代遅れ、といったような話ではないと思います。
CDが果たす役割が大きく変わった…、かつてのような使い方ではなくなった…。
CD本来のあり方に戻ったというのが、正しい認識なのではないでしょうか?
CDに未来はあるのか?これからについて
CDに限らずDVDに関しても、以下のようなことを言う人はいるのではないでしょうか?
それでもDVDはしっかりと販売しているし、これらが無くなることはありません。
音楽の聴き方が多様になったため、当然、CDの地位は相対的に低下していきます。
それでも形として残しておきたい、ジャケットを眺めながらニヤニヤしていたい…。
そういったニーズは、これからも変わらずに、ずっと残り続けるのではないでしょうか?
CDを大量生産し続けていた90年代が、むしろ異常事態だったと言えるのです。
CDは多品種少量生産が基本であり、これからも細く長く続いていくと思います。
CDを所有しているというのは、ファンとしての証、と言い換えることだってできます。
アーティストとファンの関係性が続いていく限り、CDはずっと残り続けると思うのです。