サブスクリプション音楽の仕組みに入る前に、まずは結論からお伝えしたいと思います。
サブスクリプション音楽で選ぶべきベスト3は以下のとおりです。
・Amazon Music Unlimited
・Apple Music(おすすめ)
・Line Music
サブスクリプション音楽はアーティストの収益になるので、応援している人の音楽は進んで聴くのが良いです。(違法動画はダメ!)
前半ではサブスクリプションの仕組みやお金の流れについて、後半では再生回数における収益や儲けについて見ていきます。
後半に言及している収益は、ツイッターなどの情報を参考にしました。
※これからお伝えする情報は、あくまで独自の見解であり、必ずしも正しいとは限りません。
主観的な意見が多数含まれていますので、参考程度に見ていただければ幸いです。
目次
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サブスクリプション音楽とは?
サブスプリクションは、一定期間の利用に対して代金を支払う方式のことです。
定額聴き放題とか、音楽ストリーミング配信とか、さまざまな言い方をします。
ストリーミングは90年代のころから、さまざまな実験が行われていましたが、一般に広く普及し始めたのは、2010年代に入ってからです。
音楽業界の数字の変遷を見ながら、業界の構造やサブスクリプション音楽の仕組みについて見ていきます。
音楽業界の売上の変遷について
音楽業界はこれまでどのような推移で、いまに至っているのでしょうか?
日本レコード協会が出している、図やグラフから考えてみたいと思います。
下記は音楽配信の金額を年度ごとに集計したものです。
出典:日本レコード協会PDFより
グラフから読み取れるのは以下のことです。
・2013年までは右肩下がりが続いたが、そこから持ち直した。
・アルバムなどが落ち込み、ストリーミングが大きく伸長した。
下記のグラフは、年度ごとの音楽配信の数量と金額の数字です。
赤で囲ってあるところが、ストリーミングの数字の変遷です。
出典:日本レコード協会PDFより
日本でサブスクリプション音楽が本格的に始まったのは、2015年と言われています。
数字の推移を拾っていくと、以下のようになります。
2015年…123.8億円
2016年…199.9億円
2017年…237.9億円
2018年…310.3億円
ストリーミングが大きく伸ばしていることがよく分かります。
以下のグラフは、各カテゴリーの金額比率をまとめたものです。
出典:日本レコード協会PDFより
これらのグラフから分かることは以下のとおりです。
・音楽ソフト(CDやDVDなど)の売上は落ちている
・音楽ダウンロードはここ数年横ばい
・ストリーミングが大きく伸長
さらに詳しく知りたい方は、日本レコード協会PDFをご覧ください。
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アメリカの音楽業界について
日本よりも先を走っているアメリカの状況は、どのようになっているのでしょうか?
全米レコード協会の調査(PDF)によると、音楽全体における収益は以下のとおりです。
引用:全米レコード協会の調査(PDF)
2016年上期…35億ドル
2017年上期…42億ドル
2018年上期…46億ドル
アメリカでは音楽全体が盛り上がっていて、右肩上がりに推移しています。
2018年上期の46億ドルの内容について表したものが以下のとおりです。
ストリーミング配信…75%
シンクロ…3%
物理的メディア…10%
デジタルダウンロード…12%
※シンクロは、シンクロ権のことで、映画やゲームのような、音楽作品そのもの「以外」で楽曲を使う際の権利料などを意味します。
アメリカでは、すでにストリーミング配信の割合が、圧倒的多数を占めています。
アメリカの流れを見れば、日本も今後、ストリーミングが増えていくと言えるのではないでしょうか?
音楽をめぐる日本の状況について
日本は欧米などに比べると、その変化は非常に緩やかです。
世界を見渡すと、アメリカでタワーレコードが潰れたり、イギリスではHMVが破綻するなど、音楽ソフトを販売する実店舗が軒並み廃業に追いやられています。
日本はタワーレコードが全国80店舗、HMVが56店舗(執筆時点の店舗数です)営業していることを思うと、日本は世界的に見て、物販領域が非常に強いということがよく分かります。
日本は音楽ソフトが根強く残っている
また音楽ダウンロードに関しても、非常に根強い人気があります。
日本は音楽を買う、所有するという意識が、ほかの国に比べて強いのかもしれません。
「好きなアーティストを応援する」という意味において、分かりやすい消費活動です。
音楽業界の産業構造が変わらないことについては、さまざまな意見があります。
構造を変えようとしない業界に何か意図があるのか、それとも物販に対してのユーザーの要望が強いのか、変化に対する見方は人それぞれです。
いずれにせよ、ストリーミングは今後も増えていくことが予想されます。
サブスクリプションの分配について
サブスクリプションの利益分配はどのようなものなのでしょうか?
お金の流れについて、以下の2点を順番に見ていきます。
① 著作権使用料支払い
② 原盤ライセンス
著作権使用料の支払いについて
LINE MUSIC、Spotifyなどの配信事業者は、著作権管理事業者(JASRACなど)からサービス使用の許可を得て、使用料を支払っています。
JASRACは配信事業者から利用実績データを受け取り、そこから使用料を分配しています。
分配は1曲単位となっており、再生回数によって楽曲ごとに使用料を計算します。
使用料から管理事業者の管理手数料が引かれて、レーベルやアーティストに分配されるのです。
JASRACは、毎月著作物使用料の分配を公表しています。
サブスクリプションは「インタラクティブ配信」というカテゴリーに入ります。
前年同期比161.2%という大きく伸びています。
原盤のライセンスについて
LINE MUSICやSpotifyなどの配信事業者は、権利者から配信の許可を得て使用料を払う必要があります。
原盤の権利者に支払う使用料率は、収入の40%~50%が相場です。
ここに再生回数を加えた金額が原盤使用料となります。
(再生回数が増えるほど、分配金額は多くなります)
原盤使用料を受け取った権利者は、アーティストに印税を分配します。
一般的にアーティストの取り分は、原盤使用料の10~20%となっています。
(※ただしこれはCDに基づいて考えたものです。音楽配信については独自の印税率となっているところもあり、一部のレコード会社は1%~2%で計算していたりします)
さらに詳しく知りたい人は、インプレスビジネスメディアの記事をご覧ください。
サブスクリプションでいくらお金が入るのか?
サブスクリプションによって、アーティストにいくらお金が入るのでしょうか?
これはさまざまな金額が飛び交っていて、実際のところは分かりません。
具体的な数字に言及したものを3つ紹介したいと思います。
音楽プロデューサー安原兵衛さんの例
音楽プロデューサー安原兵衛さんは、ツイッターでつぶやいています。
ちなみに
Apple musicで1回聴くと1円
Spotifyで1回聴くと0.3円
レーベルに入ります。
そこからアーティストには印税が1%
作家にも2~3%くらい?サブスクリプション中心になったらアーティストは印税に頼れないだろうなー
もういい加減に半世紀前の計算式を見直すべきだと思います。
— 安原兵衛 (@HYOE_YASUHARA) May 9, 2018
この数字をもとに計算してみます。
Apple musicだと、1回の再生で1円が権利者(レーベル)に入ります。
アーティストの印税(CDの場合)は10%~20%なので、0.1円~0.2円といった感じになります。
今回は上限の0.2円で計算をしてみます。
20万円稼ごうと思ったら100万回再生しなければならないことになります。
日本のトップならいざ知らず、普通に活動している人にはかなり厳しい道のりです。
Rei(東洋ケルト楽団)さんの例
個人で音楽活動をしているRei (東洋ケルト楽団)さんが収益を公開しています。
1再生あたりの収益は以下のとおりです。
この金額がレーベルに入るのか、個人に入るのかまでは分かりませんでした。
配信業者によって価格が違うという、1つの参考例になります。
アーティストのことを最優先に考えてくれる業者から聴きたいものです。
このランキングは2018年のものであり、Rei (東洋ケルト楽団)さんは、ほかの年度に関してもランキングを公表しています。
上記とはまったく違ったものになっているので、興味のある人はそちらもご覧下さい。
ニプシー・ハッスルさんの例
こちらは海外の話になりますが、ロサンゼルス出身のラッパー、ニプシー・ハッスルが収益を公開しています。
元ツイートは削除されていますが、訳している人のツイッターを引用します。
ニプシー・ハッスルのツイートが話題になってますが
各WEB/ストリーミング収益はこんな感じ100万回再生で得られる利益は…
YouTube → 約7万6千円
Spotify → 約48万4千円
Apple Music → 約81万4千円
Tidal → 約138万5千円
Amazon Music → 約44万5千円ちゃんとストリーミングで聴くの大事 https://t.co/Jip5w147hu
— yanatake (@yanatake) January 16, 2018
この数字を1再生あたりに直します。
バン活さんのサイトによると、1再生あたりで換算した場合は以下のとおりです。(Youtubeは省略)
Spotify…0.4円
Apple Music…0.8円
Tidal…1.3円
Amazon Music…0.4円
以上、3つの情報を統合して推測される結論は、こちらになります。
・Apple Music はアーティスト還元率が高い
・Spotifyは還元率が低い
・AmazonはUnlimitedは高く、プライムは低い
※あくまで口コミによる推測であり、実際のところは分からないので、そのあたりご留意下さい。
アップルは3人とも言及していて、いずれも高い金額を挙げています。
アマゾンは、アンリミテッドとプライムミュージックで価格が違うようです。
Spotifyが安いというのは真偽は分かりませんが、3人の話から推測すると安いという結論になります。
音楽家の近藤薫さんの記事も大変興味深いので、合わせてご覧ください。
ちなみに筆者は、AWAとアマゾンミュージックアンリミテッドを使った経験があります。
AWAの場合、曲ごとの再生回数が表示されていて、どの曲がどれくらい再生されているかひと目で分かります。
再生回数からアーティストに入るお金を計算し想像してみる…、そんな楽しみ方もできたりすると思います。
サブスクリプションによって不平等は生じないのか?
サブスクリプションの隆盛によって今後、ビジネスモデルが大きく変わる可能性があります。
その際に、お金の流れに歪みが生じないか、きちんと見張る必要があると思います。
いくら市場規模が大きくなったとしても、アーティストに還元されなければ意味がありません。
サブスクリプションによってお金が絡むのは全部で4つです。
・配信事業者(LINE MUSIC、Spotifyなど)
・著作権管理事業者(JASRAC、Nextoneなど)
・権利者(レコード会社、レーベル)
・アーティスト
サブスクリプションが流行ることでユーザーの利便性が向上し、音楽全体が盛り上がるのであれば、非常に良いことだと思います。
実際、冒頭でも紹介したように、サブスクリプションによって少し上向きつつあります。
ただし盛り上がったお金がどこに流れているのかというのは、きちんと注視しなければなりません。
配信事業者ばかりが儲かって、アーティストに還元されなければまったく意味がありません。
実際にそれらを告発する事例は、海外で起きています。
イギリスの人気ロックバンド、レディオヘッドのトム・ヨークは、記事の中でSpotifyのことを痛烈に非難しています。(2013年の古い記事ですが引用します)
>トム・ヨークのSpotify批判は妥当か?世界中のミュージシャンが激論中
Spotifyはいま採算が取れていなくても、いずれ資産価値の出るモデルを作り上げている。
しかし弱小レーベルや新人アーティストは、経営も活動もままならない状況を強いられている、と言っています。
音楽配信業者だけが成長し、レーベルやアーティストにお金が向かわなかったら、音楽業界にとっては決して良いことではありません。
音楽業界全体が潤うようになるためには、しっかりと整備する必要があると思います。
サブスクリプションを解禁していないアーティスト
サブスクリプションによって多くのアーティストの音楽が聴けますが、解禁していないアーティストもいます。
19年10月現在において、参加していないのは以下のとおりです。
・B’z
・サザンオールスターズ
・L’Arc~en~Ciel ⇒(19年12月に解禁)
・aiko
・星野源
・米津玄師
・UNISON SQUARE GARDEN
サブスクリプションについてはさまざまな意見があり、レーベルやアーティストは現在進行系で探っている段階にあると思います。
しかし1番の懸念材料としては、やはり分配にあるのではないでしょうか?
業界全体が健全な発展をしていくためにも、ユーザーも含めてしっかりと見張ることが必要になると思います。
サブスクリプションでアーティストに還元する1番の方法!
これまでのことをもう一度まとめたいと思います。
・アーティストに還元率の高いサブスクリプションは、Amazon Unlimited、 アップル、LINEの順番。(アップルを評価している人が多いのでおすすめ)
・サブスクリプション音楽の再生は、アーティストにお金が行く(違法アップ動画などはお金が渡らないから見ない!)
CDや音楽ダウンロードを使っていた人たちの中には、サブスクリプションはお金がきちんと回らない、と思っている人も多いかもしれません。
配信業者やレーベルなどが取り分を持っていってしまうリスクはありますが、サブスクリプションによって、アーティストにお金が回る様子は理解できたと思います。(還元率が少なすぎるというのは、議論の余地があります)
活況を呈する音楽業界が健全に発展するためにも、ユーザー、配信業者、レーベルやアーティストがウィンウィンの関係で結ばれるように、きちんと整備して欲しいものです。
また、大ヒットのアーティストにばかりお金が流れて、新人の若手が活躍できなくなるといった懸念もあります。
ユーザー側もアーティストのことを考えた消費行動ができればと思います。
もっとも還元率の高い Amazon Music Unlimited 、初回は無料することができます。
わたしも好きな音楽を聴いてアーティストに還元すべく、何度も繰り返し聴いています。