一口に百貨店で働くと言っても、部署や環境によって見えてくる光景がそれぞれ異なります。
もっとも大きな違いと挙げられるのは、都心店か地方店かになると思います。
都心店と地方店、どちらがより多くのことを学べたでしょうか?
わたしの場合、仕事として充実していたのは圧倒的に都心店でした。
地方店は潰れかけの店ばかりで、刺激に乏しい環境だったように思います。
のちに閉店になってしまった店もあり、いまでは跡形もありません。
しかし愛着度で言うと、地方店の方がものすごくあったように思います。
都心店と地方店では、同じ仕事でも全然違った視点で見ることができます。
わたしは全部で4店舗経験しましたが、どれも特長があって非常に楽しめました。
今後百貨店は地方店を中心に、ますます潰れてしまうのかもしれません。
しかし、地方店には地方店の良さがあるので、何とか踏ん張って欲しいと願っています。
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都心の百貨店は人種のるつぼ
都心の百貨店のすごいポイントを挙げると、恐ろしく巨大な規模にあります。
わたしがいた都心の百貨店を数字で表すと、以下のようなものでした。
・従業員が館全体で1万人
・年間来店客数7,000万人
・全長400メートルの超巨大店舗
バックヤードはまさに迷路そのもので、初めて来た人は絶対に迷子になります。
取引先の人を案内するために、通用口まで迎えに行くというのは日常茶飯事でした。
組織体系はまさに段違いの大きさで、ありとあらゆる偉い人がいました。
従業員も客もいろんな人がいて、その大きさに圧倒されるばかりでした。
都心の百貨店で働くというのは、それだけでもすごく大きな経験になると思います。
百貨店の内部やバックヤードもいろいろとすごくて、規模の大きさを実感することができます。
地方の百貨店は小さくこじんまりしている
都心の百貨店を経験したあとでは、地方の百貨店はひどく寂しく感じたりします。
・客はいつもまばら(従業員の方が多い時間帯も)
・日常の買い物の延長といった雰囲気
・閉店時間が早い(超メリット)
都心の百貨店では、組織が大きすぎて全然知らない人もたくさんいます。
部門内でさえも、全員の顔と名前が一致しないというのは、ごく当たり前のことです。
一方で地方の百貨店では、全員が顔馴染みといったことがごく普通にあります。
店長や副店長といった偉い人までもがけっこう身近にいて、話すことができたりします。
さらに地方店では満員電車に乗らずに済むというのは、非常に大きなメリットです。
自転車とか徒歩で通っている人も多く、牧歌的な光景があったりします。
都心の通勤ラッシュにウンザリしている人は、地方の通勤のしやすさはとても最高です。
ただし人が少ないというのは、客が少ないことでもあるので、少し複雑です。
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都心店と地方店はどちらが良いのか?
刺激があって仕事として大きく成長ができるのは、圧倒的に都心店だと思います。
百貨店業界は非常に厳しいと言われていますが、都心店の売上はなお健在です。
若い頃は刺激がある方が良いので、都心店を経験することはとても大きいと思います。
仕事の経験値として、非常に高いものを身につけられると思います。
しかし一方で、都心店はあまり愛着を感じることはなかったように思います。
これ以上東京が繁栄したところで、わたし個人としてはさほど嬉しくありません。
地方店は刺激に乏しいですが、愛着を覚えることは多かったと思います。
地方に住むこと自体が経験となり、地元の店を発掘するなどの楽しみも増えていきます。
一口に地方と言ってもそれぞれに違いがあって、個性を楽しむことができます。
東京が規模の大きさに分があるとすれば、地方には小さな個性に分があると思います。
地方は衰退していると言われたりしますが、やり方次第でむしろチャンスではないでしょうか?
ミニ東京を作る意味はないので、地方の良さを活かした方が良いと思います。
百貨店の地方店はますます潰れていく
百貨店の地方店は、今後ますます潰れていくことが見込まれています。
非常に残念なことですが、店頭に行けばその実態がよく分かります。
客よりも従業員の方が多く、常にヒマを持て余していたりするのです。
個人的にはとても残念ですが、この流れは避けられそうにありません。
今後10年のあいだに、百貨店は都心にのみ集約されることになると思います。
加えてお中元やお歳暮といった文化も、廃れていくことになるかもしれません。
時代の変化に取り残されているようでは、そこに明るい未来はありません。
わたしは百貨店に長くお世話になったので、今後も息の長い存続を希望しています。
地方店の閉鎖は地方の衰退ともリンクしている
百貨店の地方店が閉店するのは、地方の衰退ともリンクしていると思います。
百貨店が無くなってしまった跡地は、空いたままになっているところも少なくありません。
空地として有効活用されていないというのは、何とも寂しい限りです。
やりたいことをやっていく…、商売をきちんとすることは大切だと思います。
百貨店業界の中で、もっとも地方店の経営がうまいのは高島屋だと思います。
地方店が続々と潰れていく中で、高島屋は店舗の閉鎖が非常に少ないです。
商売である以上は儲かることは第一ですが、それ以外にも役割があるように思います。
地方店にもお世話になった身としては、もっと地方店に頑張って欲しいと願う次第です。