日本はさまざまなスポーツが盛んですが、とりわけマラソン熱がすごいです。
マラソンは国民的関心事であり、その動向に多くの人が注目しています。
週末になると全国各地で、必ずマラソン大会が行われます。
市民ランナーの数も膨大で、多くの人に親しまれているのです。
しかし残念ながら、ここ最近のマラソンの成績はまったく奮っていません。
世界との差は開くばかりで、いまやメダルにはまったく手が届かない状況です。
なぜ日本のマラソンはダメになってしまったのでしょうか?
マラソンが弱くなってしまった原因に迫り、日本の陸上界に喝を入れるのが本作なのです。
『日本のマラソンはなぜダメになったのか』という本について見ていきます。
目次
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『日本のマラソンはなぜダメになったのか』に登場する7人の名ランナー
『日本のマラソンはなぜダメになったのか』は7人の名ランナーが登場します。
いずれも各年代にマラソンの日本記録を持っていた、日本を代表するランナーです。
宗茂
1953年に大分県で生まれました。
双子の弟、宗猛とともに、日本のマラソンを牽引した立役者です。
78年別府大分毎日マラソンで、2時間9分5秒の日本記録を打ち立てました。
モントリオール・ロサンゼルス五輪に出場しました。
<内容>
2020年東京で、表舞台に上るために必要なこと。
宗茂の1983年福岡国際マラソンに向けた練習メニュー
瀬古利彦
1956年三重県で生まれました。
早稲田大学では4年連続で箱根駅伝に出場しました。
83年の東京国際マラソンで2時間8分38秒の日本記録を更新しました。
<内容>
24時間マラソンのことを考えなくてはいけない。
瀬古利彦の1983年東京国際マラソンに向けた練習メニュー。
中山竹通
1959年長野県で生まれました。
85年ワールドカップマラソンで2時間8分15秒の日本記録を更新しました。
ソウルオリンピック、バルセロナオリンピック、ともに4位の成績を残しました。
<内容>
人と同じことをやっていては勝てない。
中山竹通の練習メニュー解説。
児玉泰介
1958年鹿児島県で生まれました。
85年北京国際マラソンで2時間7分35秒で優勝し、日本記録を更新しました。
<内容>
成功と失敗を次のためにうまく利用することが大事。
児玉泰介の1986年北京国際マラソンに向けた練習メニュー。
犬伏孝行
1972年徳島県で生まれました。
99年ベルリンマラソンで、2時間6分57秒で優勝し、日本記録を更新しました。
<内容>
「日本人トップ」ではなく優勝を狙え。
犬伏孝行の1999年ベルリンマラソンに向けた練習メニュー。
藤田敦史
1976年福島県で生まれました。
2000年福岡国際マラソンで2時間6分51秒で優勝し、日本記録を更新しました。
<内容>
東京五輪を目指す大学生が、社会人になる前に出来ること。
藤田敦史の2000年福岡国際マラソンに向けた練習メニュー。
高岡寿成
1970年京都府で生まれました。
2002年シカゴマラソンで2時間6分16秒で、日本記録を更新しました。
<内容>
チャンスは回ってくると思って、行かなければいけない。
高岡寿成の2002年シカゴマラソンに向けた練習メニュー。
『日本のマラソンはなぜダメになったのか』の感想について
『日本のマラソンはなぜダメになったのか』は、7人がそれぞれのマラソン哲学を余すことなく披露しています。
その哲学はとても深遠で奥が深いものばかりです。
努力や精神論も語られていますが、それ以上にある種の執念が感じられるのです。
いまにも戦いが始まりそうな、バチバチした刺激が味わえる作品なのです。
『日本のマラソンはなぜダメになったのか』は、とても熱い本です。
マラソンのレジェンドたちが世界と戦った経験から、いまの若い人たちに、ときには厳しく、ときには優しい口調で、叱咤激励をします。
世界の頂点を目指すためには、これくらいの覚悟を持ってやるべきだという、ある種の指針にもなります。
わたし自身、本作を読んで、先人たちの戦いに対する覚悟を垣間見た気がしました。
本全体にほとばしる熱量は、尋常ではありません。
日本のマラソンを牽引した者たちの言葉は、ものすごい説得力があります。
それ以上に生き方や人生そのものを深く考えさせられます。
わたしは一介のアマチュアランナーに過ぎませんが、ものすごく心に響きました。
マラソンをする人だけでなく、挑戦する人や夢に向かって突き進んでいく人、すべての人への叱咤激励、エールを贈る本です。
瀬古利彦さんが言っていた下記の言葉はとても印象に残りました。
「マラソンは究極のアナログスポーツ」
熱くて胸が打たれる本なのか、古臭い根性論の本なのか、人によって判断が分かれると思います。
それぞれの熱いマラソン論が分かる、良書となっています。
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リオオリンピックの視聴率トップはマラソン!
2016年に開催されたリオオリンピックで、全体を通じてもっとも視聴率が良かったのは、男子マラソンで23.7%でした。
2位は開会式で23.6%、3位は女子マラソンで22.6%です。
しかしここ最近は成績が振るわず、入賞すら困難な状況となっています。
世界との差はますます開いていて、メダルはおろか上位に食い込むことすら非常に難しい状況です。
日本人がマラソンに賭ける期待はものすごく高い!
マラソンの日本代表は、毎回ものすごい注目を集めます。
熾烈な戦いを繰り広げる選考レースは毎回大きなニュースなり、日本陸連の決定が賛否を呼びます。
ときには社会問題として取り上げられるほど、常にマラソンへの関心は尽きません。
東京マラソンに対する注目の高さは、特筆するものがあると思います。
マラソンを極めてメダルを獲得すると、この国ではヒーローとして扱われます。
高橋尚子しかり、有森裕子しかり、野口みずきも、みんなそうです。
日本においてマラソンが占める地位は、全スポーツの中でも特に高いものがあります。
東京オリンピックのマラソン開催地が東京から札幌に変更になったときも、多くの議論を呼びました。
日本においてマラソンというのは、国民的な関心事なのです。
日本人がマラソンに価値を見い出す理由とは?
これはわたしの持論ですが、日本人が駅伝やマラソンが好きなのは、農耕民族だからではないでしょうか?
昔からコツコツと励むことに価値を見い出す民族で、一歩ずつ前に向かって進んでいくマラソンと親和性があるのだと思います。
人生を、道とかマラソンなどに例える言葉があって、多くの人が格言として使います。
マラソンは日本人のマインドに、見事にフィットしていると思うのです。
マラソンが身近にあって、その精神性に強く共感するからこそ、多くの人を引きつけるのです。
日本のマラソンがトップに輝く日は来るのか?
日本がマラソンでトップに立てる日は来るのでしょうか?
世界との差は開いてばかりで、いまの実力では入賞が精一杯だと思います。
かつて日本は、頂点に手が届きそうなところにいました。
先人たちの言葉に耳を傾けながら、これからに期待していきたいところです。