政治・経済

原発をめぐる世界の動きと日本の未来、今後どうなっていくのか?

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世界の原発の数は?廃止した国はある?

2019年1月現在、日本には38基の原発があります。

これは世界の中で、4番目の多さとなっています。

1位 アメリカ 98基

2位 フランス 58基

3位 中国   44基

4位 日本   38基

5位 ロシア  37基

東日本大震災で福島原子力発電所の事故が発生して以来、世界各国で原発に対する見直しが行われるようになりました。

日本は原子力発電所の稼働が2013年にゼロとなったのですが、その後、再稼働の動きが少しずつ見え始めています。

 

原発の利用状況と今後の動きについて、各国は以下のような対応を取っています。

引用:経済産業省 資源エネルギー庁

福島の原発事故を受けてさまざまな動きが見られましたが、ドイツやベルギーなど一部の国を除き、世界は原発を利用する方向に進んでいます。

原発事故などがあると、いったん沈静化する。

しかし世界の多くの国が、原発を推進する方向に進んでいる。

原発を推進する国は、理由として以下のことを挙げています。

・地球温暖化対策

・エネルギー安全保障

世界の動きを見ていると、原発をゼロにすると宣言したドイツやベルギーは、大変な政治的決断をしたように見えます。

 

日本で原発問題を議論するとき、とかく政治思想が言われがちです。

原発の開発の歴史は、政治的な意図が含まれているものなので無理もありません。

ただしきちんとした知識がないまま、絶対に安全だとか事故が起きたら危ないとか、感情論をぶつけ合うばかりで、議論が深まっていないように思います。

何が正しくて何が間違っているのか、世界はどういった動きをしていて、どうすれば良いのか、考えるきっかけになれば幸いです。

原発事故の歴史について

原発はこれまで世界中でさまざまな事故を起こしてきました。

特に有名なものとしては、以下のようなものがあります。

1979年  スリーマイル島事故(アメリカ)

1986年  チェルノブイリ原発事故(旧ソ連)

2011年  福島第一原発事故(日本)

原発事故が起こる度に、世界中で議論が行われました。

それまで原発を推進していた国が、ひっくり返ることもありました。

スリーマイル島事故   → スウェーデンが脱原発を表明

チェルノブイリ原発事故 → イタリアが建設中の原発を凍結

福島第一原発事故    → ドイツ、スイス、台湾、韓国が脱原発を表明

東日本大震災による福島第一原発事故も、世界に巨大なインパクトを与えました。

日本は原発政策の見直しを迫られて、国内にある原発を一度すべて停止しました。

再稼働をするとか、再生可能エネルギーで賄うとか、さまざまなことが言われています。

 

世界各国の考え方、国内の政治情勢など、さまざまなことがあると思います。

世界の原発は今後どうなっていくのか?

世界各国は、今後も原発を利用する動きを見せています。

現在、建設・計画(提案)していて、今後開発が見込まれる原発は以下のとおりです。

1位 中国         196基

2位 ロシア         53基

3位 インド         49基

4位 アメリカ      37基

5位 サウジアラビア 16基

中国は1年に7~8基のペースで原発を作っていて、急激に数を増やしています。

2026年には、アメリカを抜いて世界一の原発大国になると予想されています。

 

仮に日本で完全に原発をゼロにしても、中国やロシアで大規模な事故が発生すれば、その影響がまったくゼロにすることはできません。

中国の原発は多くが沿岸部に建設されているので、大事故が発生すれば風評被害が日本にも及ぶ、といったことは、十分に考えられるのです。

 

中国情勢に詳しい福島香織さんは著作の中で、以下のような観点から、いずれ中国で原発事故が起きるのではないか?という予想をしています。

・急速な勢いで原発を作り続けている

・原発を管理する人的な育成が追いついていない

・中国は人権が軽い(いざとなったらもみ消す)

大国はいずれも原発事故を起こしていますが、不思議と中国は起こしていない、しかし今後のことは分からない、といった警告を発しています。

※小さな事故は割とよく起きている、といった話はあります。

 

日本では、原発をゼロにするとか再稼働するといった議論が行われていますが、一方で中国のこうした動きがある、ということも、頭に入れておく必要があると思います。

原発は不要なのか?日本の現状について

日本の電力発電の内訳はどのようなものでしょうか?

引用:日本国勢図会 2019/20 ※出典は資産エネルギー庁「電力調査統計」

※2015年度以前は電気事業連合会「電気事業便覧」

 

上記数値より、筆者が作成

火力発電が全体の87%(2016年)と圧倒的な割合を占めています。

東日本大震災が起きるまでは、原子力発電が伸びていました。

 

しかし福島第一原発の事故が起きて、原発の見直しに対する見直しが行われます。

原発の割合を徐々に高めていた頃なので、いざ原発が使えないとなったときに、計画停電や、節電の呼びかけなど、さまざまなことがありました。

 

2013年に、いったんすべての原発が止まりました。

近年は、また少しずつ原発の割合が増えてきています。

 

早計に判断を下すのは難しいですが、グラフを見る限りにおいては、原発がなくても電力供給は間に合うように感じます。

少なくとも電力供給の観点から「原発が必要だ」という議論は、あまり意味があるようには思えません。

 

原子力発電に代わって割合を伸ばしているのは火力発電です。

果たして火力が本当にベストなのか?といった議論もあります。

・二酸化炭素の排出量が膨大(地球温暖化に拍車をかける)

・燃料を国内で調達できない(輸入に頼っているため、安全保障に問題あり)

火力発電にもデメリットがあり、それをどこまで享受できるのか?慎重に考える必要があるのです。

 

また原発には技術革新の側面もあるので、一概には言えません。

原発の廃炉は、ビジネスとして巨大産業となっています。

世界が原発を開発する方向で進んでいく中で、日本が脱原発を推進するのが、果たして得策なのか、議論が分かれるところです。

 

中国が原発の開発を伸ばしているのは、日本の技術供与が大きく関係しています。

技術革新や安全設計を考えると、原発ゼロにするのが妥当なのか?疑問が残ります。

 

また将来的には、核廃棄を安全に行える技術が開発されるかもしれません。

ただ超巨大な原発事故を起こしてしまった以上、安心は絶対条件です。

 

ただしその裏には、さまざまな大人の事情があるのです。

世界の趨勢を見たときに、原発をまったく扱わないという決断が果たして良いのか、非常に判断が難しいところです。

・原発がなくても国内の電力を賄うことは、おそらく可能。

・ただし世界の流れは、原発を作る方向に動いている。

・原発は日本の輸出を支える巨大産業であり、技術革新の側面もある。

 世界の電力事情、原発の動き

世界の発電量と、何から生み出しているのか、を示したものが以下となります。

※日本国勢図会2019/20より引用

IEA “World Energy Statistics”(2018年度)より。

フランスの原発依存度は、非常に見を見張るものがあります。

ドイツは、新エネルギーの導入に積極的な姿勢がうかがえます。

ヨーロッパで隣あっている大国が、こんなにも施策が違うことは驚きです。

 

日本は各国に比べて、原発の割合がもっとも低くなっています。

原発事故を引き起こしたのだから、ある意味で当然とも言えます。

ところが、同じく大規模事故を引き起こしたアメリカやロシアでは、原発の割合が非常に高くなっています。

特にロシアは、チェルノブイリの事故を起こしたにも関わらず、中国に次いで原発建設を進めているのです。

今後、原発に関しては、中国とロシアの動きをしっかりと見ていかければなりません。

 

これまでの原発の歩み、積み上がってきた利権のことなどを考えると、原発を国内政治と据えて、ある程度感情的になってしまうのは、仕方ありません。

しかし国内でゴタゴタしているうちに、判断を見誤って世界の趨勢と違った方向に行くことは、国益を考えた場合に決して良い判断とは言えません。

核のゴミを地中深くに埋める、フィンランド「オンカロ」について

フィンランドでは「オンカロ」という核廃棄施設を運用しています。

地中深くに核のゴミを捨てて、10万年という長い年月を眠らせるという、SF小説のような壮大な取り組みを、実際に行っています。

 

小泉純一郎元総理がオンカロを見学して「原発はダメ」と言ったのは有名な話です。

自身が総理をしていたころは、原発を推進していたのですが、核廃棄の現場を目の当たりにして、現在では反対の立場を取っています。

 

AFP BB NEWS フィンランドの放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」はこちら

 

10万年後に果たしてどうなっているのか、誰にも分かりません。

最終処分場は完全に封鎖されますが、後世の人が興味本位で開けてしまう可能性は、十分に考えられるのです。

原発とどう向き合うのか、核のゴミをどのようにするのか、きちんと考えて議論していく必要があるのです。

 

原発の詳しい歴史と各国の状況については、以下のHPに詳しく記載されていますので、興味のある方は是非一読下さい。

経済産業省 資源エネルギー庁