日本のボランティアは、無償で奉仕するという暗黙のルールのようなものがあります。
結果的にボランティアは、余裕がある人しかできないようになっていると思うのです。
ボランティアをしたいという人の気持ちを、汲み取る制度があっても良いのではないでしょうか?
ボランティアに対する心理的ハードルを下げて、裾野を広げる取り組みを行えば、日本はもっと助け合える国になると思うのです。
東京オリンピックのボランティア募集について、さまざまな議論が沸き起こりました。
無償のボランティア精神はとても美しいですが、一方でそれに甘えて良いのか?という議論も当然出てくるのです。
長い目で見れば、わたしは無償ボランティアが当たり前という意識を、変えた方が良いと思います。
ボランティアが無償奉仕であり続ける限り、いつまでも広がっていくことがありません。
日本のボランティアのあり方と、兵庫県の取り組みについて見ていきます。
目次
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日本のボランティアはなぜ無償奉仕なのか?
皆さんはボランティアをやったことがあるのでしょうか?
わたしは寄付はやっていますが、ボランティアはやったことがありません。
日常の生活や仕事の忙しさなどを考えると、とてもボランティアなんてできません。
ボランティアをやれる精神的余裕がまったくないのです。
ボランティアは、時間にもお金にも余裕がないと、なかなか難しいのではないでしょうか?
ボランティアで得られるものは、精神的充足くらいのものです。
もちろんそれはすごく大切なことですが、ボランティアに崇高な精神を求めすぎではないでしょうか?
ボランティアは、もっと気軽にできるものにしたほうが良いと思うのです。
非営利団体の推移、日本のボランティアは確実に増えている!
ボランティアが注目されたのは、1995年に起きた阪神淡路大震災のときです。
ボランティア活動は一般に広まって、多くの人の関心を集めるようになりました。
その後、東日本大震災や台風や豪雨災害などが起きたとき、必ずボランティアのニュースが伝えられるようになりました。
苦しいときはお互いさま・・・、助け合いの精神を感じる、素晴らしいニュースだと思います。
特定非営利団体の数も増えていて、きめ細かな部分まで行き届くようになっています。
引用:内閣府NPOホームページより
ボランティアは着実に広まっていますが、一方で課題もあるように思います。
被災地まで自費で行くというのが、いまでも普通に行われているのです。
ボランティアをもっと身近なものにするために、兵庫県がある取り組みを行っています。
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兵庫県が取り組んでいる有償ボランティアについて
兵庫県は大規模災害のボランティア活動をする人のために、有償制度を設けています。
財源には ふるさとひょうご寄付金 を活用しています。
兵庫県へのふるさと納税には、さまざまな応援メニューがあるのですが、その中の1つに、大規模災害ボランティア活動応援プロジェクトがあるのです。
大規模災害ボランティア活動応援プロジェクトについて
大規模災害ボランティア活動応援プロジェクトは、ボランティアをしようとする人を、優遇措置する制度です。
ボランティアは自費でやっている人が多いというのが実態です。
被災地に出向くまでの交通費や宿泊など、自分で手配しなければなりません。
この制度を使うと、交通費や宿泊費が支給されるので、安心してボランティアに出向くことができるのです。
対象者
以下の4つをすべて満たす必要があります。
- 県内に拠点を置く5人以上の団体、グループ
- 代表者の年齢が20歳以上であること
- 宗教活動、政治活動、営利活動を目的とする団体・グループではないこと
- 反社会的かづ等を行う団体・グループではないこと
活動の対象
復旧期の被災者支援活動(被災者宅のがれき撤去、泥かき、避難所運営支援など)
助成額
団体・グループあたり上限20万円
助成対象経費
被災地への往復及び被災地で交通費。
・貸切バス利用
・高速道路利用料
・フェリー利用料
被災地での活動に必要となる場合の宿泊費。
・1実働日ごとに1泊まで。1人あたり8,700円/日を上限とする。
ボランティアに取り組みやすい制度づくりが大切!
兵庫県のような取り組みをすると、こっちは無償でやっているのに、あちらはなぜ有償でやっているのか?と文句を言う人も出てくるように思います。
その議論に関しては、わたしは深刻に受け取る必要はないと思います。
ボランティアは無償奉仕だという根本の考え方を、まずは変えるべきではないでしょうか?
また、制度を悪用して、私的に使う人も出てくるのではないか?という懸念もあります。
きちんとした手続きを経て、公的機関に申請を出すという面倒な作業を行う人が、悪用するということも、非常に考えにくいです。
もちろん、しっかりと精査する必要はあると思いますが、わたしはボランティアに取り組みやすくなる、素晴らしい制度だと思います。
失業保険でも、悪用する人はするし、しない人はしません。
得られる効果としては、ボランティアに熱心な人が、回数が増える、ということかもしれません。
ボランティアは、もっとも裾野を広げなければいけないと思います。
阪神大震災の被害に遭った兵庫県ならでは取り組みとして、兵庫出身者としては、応援したいと思います。
ボランティアを継続した取り組みにするために必要なこと!
ボランティアは聖人君子の行い、みたいなイメージがまだどこかにあると思います。
そうではなく、もっと身近なものだ、という意識にならないといけません。
ボランティアは一過性のものではなく、継続した取り組みであることが大切です。
災害はいつ起きるか分からないので、いつ被災してもおかしくはありません。
困ったときはお互い助け合う・・・
しかし、心だけでは人はなかなか動くことはできません。
ボランティアは、精神的な充足だけに頼っては、ダメだと思うのです。
継続的に取り組める環境づくりは、まだまだ道半ばのように思います。
非営利団体が起点になって組織として効果的に動ける・・・、これからの課題のように思います。
ボランティアに対する意識付けが変わって欲しい!
2020年1月15日のNHKのニュースでやっていた特集が、面白かったので記事にしてみました。
わたしはボランティアをやったことがないし、興味も薄かったのですが、この取り組みについては、応援していきたいと思います。
ボランティアは有償でやった方が、長期的には継続につながります。
ボランティアは無償であるべき、という意識を変えるきっかけになればと願っています。
兵庫県にふるさと納税をすることで、この取り組みを応援することができます。
阪神大震災で被災したからこそ、こういった取り組みをもっと先導して欲しいと思います。